コラム
2019.11.01

アップデートは突然に
~家事お助けアイテムから始まる新たなストーリー~

 その日は突然やってきた。結婚して間もなく10年、ついに我が家のキッチンに“食器洗い乾燥機”が導入され、キッチンがアップデートされた。でもそれだけではなかった。同時に私の家事や子育て、家族への振る舞いに対してのマインドもアップデートされたのだ。

 そのきっかけは、食洗機の導入によって不意に生まれた時間の余裕。

 それまでの私は、毎晩、シンクに積み上げられた食器にうんざりしては、苛立っていた。「お母さんと寝る」とぐずる子どもたちを渋々寝かしつけ、一緒に眠りそうになるのを必死にこらえ、夜中に起きて食器を洗い、翌日の仕事の準備をする。そんな時に抱く「私が子どもたちのことをしている間に、できる家事を終わらせてくれたら。もう少し手伝ってくれたら。」という夫への苛立ち。それは食器洗いに限らず、料理、洗濯、掃除、ごみ捨て、様々な場面で生まれ、生活の中で表れてしまっていた。

 しかし食洗機が導入されてからというもの、その苛立ちは明らかに軽減された。そこで生まれた時間の余裕が、家族と接する自分の心にも余裕を生んだ。そして、家事を早く終わらせたいあまり、子どもたちの話を聞き流していたことや、適当に受け答えをしていたことに気づかされた。「食器洗い一つで」と、今振り返るとため息が出そうになるけれど・・・。

 3人の子どもたちとの慌ただしい日々の中、末っ子である次女が歩き出し、言葉を発するようになり、3人目にしてようやく気付いたことがある。子どもの成長はあまりにも早い。忙しい、大変と言って過ごしていては勿体なさすぎるほどの感動が詰まっている。できることが増えていく成長の過程を次々と見せてくれる。「今しかない」瞬間であふれている。その瞬間を目の前の家事にとらわれることで、見逃してしまいたくはない。そしてその瞬間を苛立ちの感情を抱えながら味わいたくはない。もっと大切に笑って過ごそう。

 家事の分担を何も夫だけに期待することはない。機械に代わってもらえるものは、代わってもらえばいいと思った。機械に助けてもらうことで、家事のハードルが下がり、協力しやすくなることもあると思う。「食器を洗うのは面倒くさいけど、食洗機に入れるだけなら」という気分になるかもしれない(我が家の夫に期待を込めて)。

 そして夫にも一緒に「今しかない」瞬間を味わってほしい。「“おしす”たべたら、いっしょに“すべだりい”しようね」「おとうさんとおかあさんのこと、クジラくらいだいすき」何気ない会話から放たれる胸が苦しくなるような愛しさを一緒に共有したい。限られた時間の中で、そのための心の余裕を作る作業分担。それが一緒に子育てをすることなのかもしれない。一緒に楽しむために、物も心もアップデートしながら協力し合えたらいい。

 「次はお掃除ロボットが欲しいな」と言うタイミングを見計らいながら思う(笑)

ライター
原田 笑
原田 笑

原田 笑(はらだ えみ)
・フリーアナウンサー、セミナー講師
・島根県益田市在住
・8歳、6歳、4歳、0歳の4人の子育て真っ最中

愛媛県出身。大学卒業後、TSKさんいん中央テレビへの入社を機に島根県にIターン。アナウンサーとして、ニュース番組のメインキャスター、地域情報番組のリポーターを務める傍ら、フィールドキャスター・ディレクターとして、ニュース・番組の取材、編集などに当たる。

第2子出産を機に退社し、山陰両県を中心にリポーター、ナレーション、CM、司会などフリーアナウンサーとして活動開始。またフリーに転身後、心理学、脳科学、コミュニケーションについて学び、県内外の企業や学校などでアナウンサーとしてのキャリアもいかしてセミナーを行うなど、講師としても活動している。

2017年4月からは、夫の実家がある島根県益田市に嫁ターン。4人の子どもたちと田舎暮らしを満喫しながら、夫の両親の手助けに感謝しつつ、仕事に勤しむ日々。大好きなパンと和菓子のお店巡りが休日の楽しみのひとつ。

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