コラム
2023.11.01

例え目指すゴールが違っていても

「あれ、家にこんな服あったっけ...?」
朝、出掛ける前に夫が干してくれた洗濯物を見上げて思う。「重ね着風の子ども用のTシャツ...じゃないっ!」それは確かに我が家の次女の服。ただ次女が重ねて一気に脱いだTシャツとインナーシャツ2枚を、重ねたまま、そして裏返しのまま干しているので、見たことがない服に見えたのだった。

「いやいやいや、まずもって一気に脱いでそのまま洗濯かごに入れる次女はどうかと思うけど...けどっ、洗濯機に入れる前に1枚ずつ別々にして入れるとか、裏返すとか、せめて干すときには別々に干すでしょっ!」と、1人でツッコミを入れながらその重ね着風シャツを別々に干し直す。

すると目に入ったのは、裏返しに干されている長男のジーンズ。「そうだよね、ポケットのある服はポケットが乾きにくいから裏返しにして干してって言ったよね。そう私が言いました。でも、でもっ、外側にだけポケットが付いている服をあえて裏返しにしたら、余計に乾かないでしょ!」と、ポケットに湿りを感じるジーンズを裏返して干し直す。

そしてどんどん視界に入ってくる、しわしわのシャツや、変な伸び方をした靴下...
そんなちょいちょい気になる洗濯物たちを干し直しながら「ツッコミどころ満載すぎる」と思わず笑えてくる。以前の私ならきっと嫌な感じで夫に文句を言っていたところだけど、今は「きっと急いでいたんでしょう。それでも頑張って干してくれたのでしょう。」と思える。

そう、家事育児に全くと言っていいほど参戦しなかった夫が、結婚して10年が経ち、ようやく洗濯物を干してくれるまでに成長したのだ。その間、私だって少しは成長した。夫のテキトーな家事の仕方に関しては、アリガトーと言って、テキトーに見守ることを覚えた。(2021.11.18「テキトー テキトー アリガトー」)そりゃ洗濯物は少しでも早く美しく乾いて、乾いた後の手間が省けた方がいいに決まっているけれど、夫婦の目指すゴールが違っていたっていい。要は、時間がかかったとしても洗濯物が乾けばいいのだ。私が何千回も洗濯をくり返しながら、ベストな方法を見つけ出してきたように、夫だってそのうち見つけて、同じゴールに近づいていくでしょう。多分...(笑)

家事を全くしない夫に、私とは違うテキトーなやり方をする夫に、何でそんなにイライラして、何をそんなに急いでいたのだろうと、ふと当時を振り返って思うことがある。家事シェアの方法だって、何千回も1人ツッコミを入れながら、何千回もありがとうを伝え合いながらベストな方法を見つけていければいい。要は、きょうも家族が笑顔でいられればいいのだから。

ライター
原田 笑
原田 笑

原田 笑(はらだ えみ)
・フリーアナウンサー、セミナー講師
・島根県益田市在住
・2男2女の4人の子育て真っ最中

愛媛県出身。大学卒業後、TSKさんいん中央テレビへの入社を機に島根県にIターン。アナウンサーとして、ニュース番組のメインキャスター、地域情報番組のリポーターを務める傍ら、フィールドキャスター・ディレクターとして、ニュース・番組の取材、編集などに当たる。

第2子出産を機にフリーに転身。2017年4月からは、夫の実家がある島根県益田市に嫁ターン。2021年6月から2年間「TSK news イット!」のキャスターを担当。山陰両県を中心にリポーター、ナレーター、司会、セミナー講師として活動中。ママに向けた益田での新しい旅の形の提案や、ママにやさしいまちづくりに取り組む「益田ママリトリートプロジェクト」の代表も務める。

4人の子どもたちと田舎暮らしを満喫しながら、夫の両親の手助けに感謝しつつ、仕事に勤しむ日々。大好きなパンと和菓子店、カフェ巡りが休日の楽しみのひとつ。

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