コラム
2022.11.04

出張には、宇宙食を置いて

 先日、宇宙食や宇宙空間で使う生活用品を、自然災害の被災地や水不足に悩む国で活用することが検討されている、という新聞記事を読んだ。常温保存ができ、袋から取り出すだけで食べることができる宇宙食や、水を使わずに衣類についた汚れを落とすことができる特殊なシートなど、宇宙を考えることで初めて思いついた製品が、地上での課題解決にもつながろうとしていることに感激した。

 水が使えない、料理もできないといった過酷な宇宙環境とは次元が違うけれど、これを日常生活での家事や育児、仕事に置き換えてみたらどうだろう。これまでにはない状況下のことを考えることで初めて思いつくアイディアが、今の暮らしや職場環境をより良いものにするかもしれない。例えば、同じ部署で働く仲間の育児休業取得。

 しまね・とっとり ワーク・ライフ・バランス キャンペーンの一環で番組取材に伺った、高齢者施設向け調理済み食品の製造・販売などを手掛けるモルツウェル株式会社(松江市)。管理栄養士として活躍する男性従業員の育児休業取得が、企業全体の業務改善につながっていた。

 流れはこう。男性従業員が育休に入ったときのことを想定して、業務の分担について部署内で相談。分担をするに当たり、育休に入る男性従業員だけでなく、部署内全員の業務を「見える化」。そうしたことで、特定の従業員にしかできない状態となっている業務の洗い出しにつながり、他の従業員もできるようにするなど対応。男性従業員に対する育休期間中のサポート体制が整っただけではなく、部署内の全員に対し、業務のサポートができる仕組みづくりにつながった。

 育休に限らず、病気や介護など、老若男女問わず誰でも急に長期休暇を取らざるを得ないことはあり得る。そんな時、「休みを取る側も、サポートする側も、安心して過ごせて、さらにより良い職場環境づくりを考えるきっかけになるっていいな」と、話を伺いながら実感した。

 例えば、家庭でも。私のやってみたいことの1つが海外で仕事をすること。そこで今、長期の海外出張が入ったらと、これまでの我が家にはなかった状況下を想像してみる。ひたすら不安...(苦笑)だけれども、ここで不安にフォーカスするのではなく「夫と子どもたちが安心して楽しく過ごすためには」と考えてみる。そうすることで初めて、日常生活にも役立つ画期的なアイディアが浮かぶかもしれない!ただ、とっさに思いついたことは「宇宙食をストックしておく」。確かに今まで考えつかなかったアイディアではあるけれど(笑)

ミニ番組「しまね・とっとりワーク・ライフ・バランス」(TSKさんいん中央テレビ)
第1回は、11月6日(日)午前8時25分~8時30分放送!

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ライター
原田 笑
原田 笑

原田 笑(はらだ えみ)
・フリーアナウンサー、セミナー講師
・島根県益田市在住
・2男2女の4人の子育て真っ最中

愛媛県出身。大学卒業後、TSKさんいん中央テレビへの入社を機に島根県にIターン。アナウンサーとして、ニュース番組のメインキャスター、地域情報番組のリポーターを務める傍ら、フィールドキャスター・ディレクターとして、ニュース・番組の取材、編集などに当たる。

第2子出産を機にフリーに転身。2017年4月からは、夫の実家がある島根県益田市に嫁ターン。2021年6月から2年間「TSK news イット!」のキャスターを担当。山陰両県を中心にリポーター、ナレーター、司会、セミナー講師として活動中。ママに向けた益田での新しい旅の形の提案や、ママにやさしいまちづくりに取り組む「益田ママリトリートプロジェクト」の代表も務める。

4人の子どもたちと田舎暮らしを満喫しながら、夫の両親の手助けに感謝しつつ、仕事に勤しむ日々。大好きなパンと和菓子店、カフェ巡りが休日の楽しみのひとつ。

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