コラム
2019.11.08

大切な家族の輪。~必要なのは気づく事(前編)~

 「夫は外で頑張り、家の事は全て妻にまかせる。」以前、大阪のメーカーで企画 開発兼デザイナーとして働いていた私には「当たり前」の感覚でした。帰宅するのは、まだ幼い子供達が眠りに落ちた夜遅く、朝は子供達が目覚める前に出社する。「大切な家族を守るため」と一生懸命な毎日でした。

 そんな「当たり前」を一変させる転機は、久しぶりに家族で楽しく遊んだ日曜日の夜に起きました。大満足の子供達が、お休みの前、はじけるような笑顔で私に「また遊びにきてね!」と言ったのです。「幼い子供達にとって私は、たまに来て楽しく遊んでくれる人だったのか!」と目の前が真っ暗になるほどの衝撃を受けました。いつの間にか「家族の輪」の中に私の居場所がなくなっていました。「何のために身を削るように働いているんだろう?家族のために頑張っているのに、自分だけが輪の外」くやしさよりも、後悔の念がわきあがりました。
それからの私は「大切な家族の輪の中に戻るにはどうしたらいいのか?」必死に答えを探し始めました。初めは「今の自分」を中心に考えていたため、答えがなかなか見つかりません。

 しかし「大切な家族」を中心に考えると、答えは驚くほどあっさり見つかりました。

●「仕事が忙しくて時間がない!」それなら「やり方を変えて時間を作ればいい!」
●「仕事が無いと家族を守れない!」それでは「家族の側で仕事をして家族を守ればいい!」
●「今の仕事が楽しく充実している!」それでも「家族と一緒なら、どんな仕事でも楽しく充実するはず!」

 発想を転換し、ひとつひとつ問題に向き合い、答えを出していきました。

 そして、最後の問題は「いつやる?」という事。その答えは「今を変えたいのなら、スピードが大事!今でしょ!」

 以前から妻の父に誘われていた「ペンション経営」を鳥取県の大山で始める事に決めました。

 大山に決めた理由は、四季折々の変化をはっきりと見せてくれる美しい景色や夜空を埋め尽くす満天の星空など大自然にあふれ、家族で住むと想像するだけで「ワクワクする夢のような場所」だからです。新しい生活の事を思うと、夢と希望で胸が満ちあふれそうになりました。もちろん、住み慣れた大阪とは環境があまりにも違うため、同じくらい不安で胸がつぶされそうでしたが・・・。

 そして夢にまで見た「家族とずっと一緒にいる生活」を2か月後に、始める事に決めました。

(後篇へつづく)

ライター

子供と泊まる宿「エルモンテ&キャンディハウス」オーナー
稲垣 文彦(イナガキ フミヒコ)
出身地:大阪(現在:鳥取県の大山在住)
子供達:22歳の大学4年、20歳の大学2年、17歳の高校2年、13歳の中学1年、11歳の小学6年、9歳の小学4年の6人。子供達は、水泳やアーチェリーで全国大会や国際大会で活躍中

経歴

大学在学中に、夜間のアパレル専門学校に通い、大学卒業後は家業のアパレルメーカーに勤務。さらに、グラフィックデザイナーとなるため、働きながら夜間のグラフィック専門学校に通い、大阪のメーカーで企画開発兼デザイナーとなる。
その後、「家族との時間」を大切にするため鳥取に移住し、ペンション経営を始める。
当初から「家族連れ中心」のコンセプトだったが、10年前から「家族連れ限定」をコンセプトに変え、子供と泊まる宿「エルモンテ&キャンディハウス」に改名。
宿のほとんどがデザイナーであるオーナーの手作り。
「子供が小さな頃から家族で安心して楽しくお泊りしたい」との声を大切に、今日もお客様を迎えています。

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