コラム
2020.11.16

夫婦は圧倒的に他人だから”いちいち”を大切にする

 先日、ある自治体に講師として招いていただきセミナーをしました。テーマは「家事育児をどのようにシェアしていくのか?」。ポイントは2つ。

 「家事を必要以上に難しくしない」

 「名もなき家事の扱い方」です。

 セミナーではポイントを踏まえ具体的な方法を紹介しましたが、それ以前に大切なのはシェアする相手との円滑なコミュニケーションであることは言うまでもありません。

 家事や育児をシェアする相手としては夫や妻というパートナーが一番に頭に浮かぶ方も多いと思います。つまり夫婦でどのようにしてシェアしていくのか?ということになってくるわけですが、まずコミュニケーションを円滑に図るという点で意識してほしいのがタイトルにも書いた、

 「夫婦は圧倒的に他人」

 という言葉です。

 言葉としては冷酷に聞こえるかもしれませんが、考えてみると当然のことで、夫婦というのは、元を辿れば「全く違った環境で別々の家族に育てられた2人」なわけです。

 それなのに、夫婦という形になったらなぜか「言わなくてもわかる」とか「察してほしい」というような無言のコミュニケーションが可能かのように感じてしまう人も多くいます。

 だから我が家では”いちいち”という言葉を大切にしています。

 「いちいちうるさい」とか「いちいち面倒だ」というふうに“いちいち”という言葉は否定的に捉えられることが多いですが、こと、夫婦間コミュニケーションに関しては重要なキーワードだと考えているからです。

 私はこの”いちいち”を大切にすることで気づいたことがあります。それは「自分の苦手で嫌いな家事をパートナーも苦手で嫌いだと思っているとは限らない」ということです。料理が苦手な私はいつも夕飯の支度が億劫です。でもそんなこと”いちいち”言ってられないと思っていました。どうしたってやらなければならないことはあると思っていたからです。でも”いちいち”自分の気持ちを伝えてみると、パートナーはあっさりと、「料理は気分転換にもなるし嫌いじゃない」と。それからは気が楽になりました。私だけがやらなくてもいいんだと。

 自分は今どういう気持ちなのかを”いちいち”伝える。パートナーとしてその気持ちを”いちいち”確認する。家事や育児をシェアするという点で言えば、どのような家事をやってほしいのか”いちいち”質問する。どういう状態になることを期待しているのかを”いちいち”伝える。

 面倒だと思いますか?

 でも思い出してください。夫婦は圧倒的に他人です。

ライター

NPO法人 ファザーリング・ジャパン中国 代表
時短家事コーディネーター
(株)ワークライフバランス認定コンサルタント
広島県子ども子育て審議会 委員
広島県男女共同参画審議会 審議委員
公益財団法人 ひろしまこども夢財団 評議委員

1982年、広島県広島市生まれ。大学卒業後は大手製薬会社に勤務。
次男誕生の際には社内男性初の育児休業(4ヶ月)を取得した。
新潟へ転勤すると同時に「ファザーリングジャパンにいがた」を立ち上げ、代表理事に。
その後様々な要因が重なりうつ病発症。新卒より10年務めた会社を退職し主夫となる。
2人の男子の育児や妻の仕事を支えつつ、フリーライター兼主夫ブロガーとして多様な働き方やライフスタイルについて発信。
昨年4月に広島へUターン。ワークライフバランスコンサルタントとして独立。
主にタスク管理を専門とし、個人、団体問わず様々な分野での働き方改革推進に取り組んでいる。

● 得意分野
・幸せになれるタスク管理
・記録からタスク管理につなげるアドバイス
・部下の立場から見たイクボス(メンタル不調の経験も交えて)
・父親目線からのワークライフバランス。
・ライフデザイン(主夫として生きている経験から)
・現役子育て世代のリアルなパートナーシップ。
● 実績
・岡山県イクボス掘り起こし事業
・JR東日本高崎支社 管理職研修。
・松江市ワークライフバランス推進ネットワーク会議
・新潟市 男性の生き方講座
・新潟市北区 パパ講座
・真人幼稚園様 他 幼稚園でのパパ向け講座
・その他、ワークショップ、パネルディスカッション等多数

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