社員一人一人の平穏な生活があって、会社がある―。育児や介護など家庭が抱える事情に応じて、柔軟な働き方を提供している。
　2017年、女性社員が家庭での介護が必要となったことから、退職を検討していた。女性は30年以上勤めた経験豊富な社員。辞められれば、会社にとっても損失になる。そこで提案したのが、フルタイムから短時間正社員への転換だった。
　育児が理由での転換はすでにあったが、介護は初めてだった。女性は引き続き残ってもらうことになった。正社員の待遇で働き続けられる短時間正社員は、会社と女性、双方にメリットを生んだ。
　2人目の子どもが生まれた男性社員には、5日間の育児休暇の利用を勧めた。産後の退院時、家族の支えがあった方がいいと判断したからだ。同社には午前9時から4時間半勤務という子育て中のパート従業員もいる。
　18年3月から導入した「セルフキャリアドック」は、社員のキャリア形成を促進・支援する制度で、勤続年数の節目や育児・介護休業から復帰する際に行う。自身の課題や不安などをシートに書き出して〝棚卸し〟。専門のキャリア・コンサルタントとの面談を通して、やりがいを持った働き方につなげてもらう。入社3年目で対象となった長谷部京子さんは「自分のキャリアプランに対し、逆算すれば、今、何をすればいいのか、プライベートを含めて考えるいい機会になりました」と話した。
　福井社長は「働きやすい環境を整えながら、社員全員がチームとなって会社を盛り上げていけたら」と話している。