カニ加工品などの製造販売で業績を伸ばしている門永水産。多様化する時代に対応し、子育てしやすく働きやすい職場環境の整備を進めている。
　工場入り口と休憩室へ通じるエリアに、「子の看護休暇」（年５日有給休暇）や「育児目的休暇」（年１日有給休暇）など会社の両立支援制度をまとめたリーフレットを掲示。従業員の誰もが目に触れるようにした。
　社内で未就学児を抱える従業員は１０人。幼い子どもを抱える従業員にとって、いずれも「ありがたい制度」と喜ばれている。育児休業から復帰した従業員についても、無理がないよう短時間での勤務からスタートできる。松本勝志社長自ら従業員一人一人と面談し、仕事上の問題点などの解消に努めている。
　従業員の突発的な欠勤などに対応するため、固定しがちだった事務系の業務のワークシェアリングにも着手した。仕事内容を共有できる従業員を増やし、負担が特定の人に集中しないようにする。こうした取り組みが奏功し、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言時は、事務系従業員を２班にし、フロアを分けて対応。緊急時も業務継続するための備えになった。
　工場現場では、将来のリーダーとなる優秀な女性を、マネジャーやアシスタントスタッフとして登用。現場の意見を吸い上げ、業務改善につなげている。
　小谷輝泰経営企画室長は「仕事と家庭を両立できる環境整備は、新たな人材の確保や従業員の定着に欠かせない」と話す。

（令和2年12月時点）