２４時間勤務が多い警備業界の中で、１日８時間の勤務制度を導入している同社が掲げるのは「ワーク・ライフ・バランス」の実現。メリハリのある働き方を推進するとともに、社員の声を現場に生かす。
　若い世代の定着率が低く、従業員の年齢層が高いという長年の課題を解消するために、ここ数年で労働条件を改善。中でも労働時間を大きく見直し、連続勤務時間を１５時間（仮眠含む）から８時間の交代勤務体系に変更した。時間を区切って機械警備に当たることで、集中力と効率がアップし、個々の時間管理に加えて健康管理もしやすくなった。国が推進する働き方改革も後押しとなり、有給休暇取得率向上に努め、子の看護・介護休暇は１時間単位での取得が可能だ。
　田淵浩常務は「人材を大事にしたいという気持ちが一番」と強調する。従業員の意見を積極的に取り入れようと、業務改善のための提案書を無記名で投書できる鍵付きの専用箱を設置。また、会議で部署ごとに問題提起し自分たちで改善策を探る。
　警備業界は経験値が求められるため、本人が希望すれば再雇用しているが、近年は新卒も積極的に採用している。警備に関する資格取得の費用を会社が全額負担し、入社後のサポート体制も充実。人手不足を危惧する田淵常務は「定年を引き上げつつ、地元に定着してくれる若い人材を育てたい」と話し、仕事と家庭を両立して安心して働き続けられる会社を目指す。

（令和4年1月現在）